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「いつも通り」という重荷

2016/05/23
うつや不安障害を持っている人たちにとって、肉体的、精神的な負担を減らすことは、もっとも重要で根本的な回復をもたらしてくれます。


しかし、そうした人たちにとって、負担を減らすということが、またとても難しいことだということも、カウンセリングを通して、日々痛感するところでもあります。


実際に、周囲の理解や協力が得られずに、負担から逃れられず、症状の悪化との間で苦しんでいる人たちも少なくありません。


また、自分自身の生き方として、負担を減らすことが「甘え」や「怠け」、そして「依存」に見えてしまい、周囲の理解や協力があっても、自分自身で許せないというはざまで辛い思いをしている方もいます。


そうした中で、症状を抱えている人たちを縛りつける大きなものに「いつも通り」あるいは「今までやっていたじゃないの」というプレッシャーがあります。


それは、仕事や家事、育児の中の大きなものから細々としたものまで、様々なかたちをとっていて、当の本人には「いつも通り」の当たり前のことなので、それらが負担をかけているとは感じないことも多いのです。


「いつも早めに通勤している」とか「人のサポートを優先して、自分の仕事は後回し」とか。「掃除、洗濯は毎日やらないとスッキリしない」とか、「食事はなるべく手作りしないと」とか。


重い荷物も毎日背負っていると、その重さを感じなくなるように、「いつも通り」という重荷もまた、減らしたり、やめてみて初めて、その重さが実感されます。


また、「いつも通り」であることは、日常生活の安心感の源にもなっているだけに、それをあえて崩すには大きな抵抗感があります。


だから、最初は「いつものことなのに、ちょっと忘れちゃった」という軽い感じで試してみて、支障がないかどうかを確かめていくのもいいでしょう。


全面的にやめることはできなくても、毎日だったところを、週に1回休みを入れたり、さらにそれを3日に1回にしたりと、その頻度や程度を調整していくのも、取り組みやすくなります。


当たり前のことですが、「いつも通り」や「これまで通り」にやれるためには、心身のエネルギーや気力も「これまで通り」十分になければいけません。


だから、「いつもの自分とは違う」、「これまでの自分とは違う」と感じ始めたのなら、毎日の生活の中の「いつも通り」も当然見直してみる必要があるわけです。


とはいえ、大きく構えず、小さく、そして少しずつ、手の届くところから試していきましょう!


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