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「ウグイスと地震」


三月に入ってしばらくは、本当に季節外れの暖かい日が続きました。


沈丁花のさわやかな香りが、あちこちに漂い、太陽の暖かさとあいまって、「春がやってきた!」と、心も自然と開放感につつまれたものです。


ところが、「何か足りないなぁ?!」と引っかかるものを感じながら、しばらく散歩をしていて、ハタと気づきました。


「ウグイスの鳴き声をまだ聞いていないなぁ・・・」と。


「春を通り越すような温かさと沈丁花の香り!これはもうウグイスの「ホーホケキョ」も聞えてきて当然でしょ!」と思うのに、それがないのです。


すると、「これは何かの異変の前兆か?」と、不安がムクムクと湧き上がってきました。折しもメディアでは、時期的に震災関連の番組が増えてきていたので、「そうか、地震の前ぶれかもしれないゾ!」、「よくそんなときには動物たちがいなくなるということも聞いたことがあるし」などと、次々と不安な連想がつながっていきます。


もしここで、不安な思い付きを確かめようとネット検索に没頭してしまっていたら、頭が疲れてよく眠れず、翌日はさらに不安が強まって調べまくっていたかもしれません。


ところが、散歩途中で知り合いに出会ったので、ちょっとそのことを話してみると、「今年は雪も多かったしなぁ。そういうのも影響しているかもしれないよ。」と言われ、「そうか、確かにそうだな。」と、いったん、頭が地震から離れていきました。


そのおかげもあって、家に帰っていろいろとやっているうちに、ウグイスと地震のことは忘れたわけではないけれど、あえてネットで調べるのも面倒になり、そのまま二日ほどが過ぎていきました。


すると、散歩途中で聞えました、聞えました!


「ホーホケキョ!」


その日はその1回だけで、「やっぱり、少ないわぁ。」と、少し不安を引きずって、さらに二日、三日とたつうちに、結構あちこちで聞こえるようになっていきました。


結局、振り返ってみれば、三月初めの異常な暖かさで、体で感じる時間間隔が先を行ってしまったんですね。


「もうこんなに暖かいのに、まだウグイスが鳴かないなんて、おかしい!」となったわけです。


すべての不安がこんなふうに解決していくわけではありませんが、人に話したり、ちょっとしばらくやり過ごしたり、別の方向から考えてみたり、というのも役に立つことがよくあります。


サクラをボーッと眺めながら、少し心を柔らかくして、広げてみるのもいいかもしれませんね。


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